T 鹿角地域の概況

1 位置と自然的条件

(1)位置と地勢
鹿角地域は、北東北3県(秋田、青森、岩手)のほぼ中央、秋田県の北東部の鹿角盆地に位置しています。
南端に八幡平、北端に十和田湖を控え、十和田八幡平国立公園に代表される雄大な自然環境と豊富な温泉群に恵まれた地域で、その自然の豊かさは「青垣山をめぐらす鹿角」と詠んだ石川啄木の詩に象徴されています。
面積は885.34q2で、東西27q、南北61qの広がりをもっています。
また、この地域は、鹿角盆地の中央部を貫流する米代川を本流として、小坂川、大湯川、熊沢川などの河川が流れ、河岸や台地に市街地が開け、平坦地や中山間地帯には大小の集落が点在しており、その周りには広大な山地が位置し、平坦部の少ない地勢になっています。

(2)気候
鹿角地域は、内陸部に位置しているため、年間を通じて昼夜間の気温の差が大きく、典型的な盆地型気候を示しています。
近年における年間平均気温は10℃前後、降水量は年間1,500o程度であり、積雪は平地で約80p、積雪期間は12月から3月までです。

(3)面積と土地利用
鹿角地域の総面積は885.34kuとなっています。
これを地目別でみると、雑種地・その他が591.37ku(66.8%)と最も多く、次いで原野が127.15ku(14.4%)、山林73.53ku(8.3%)となっており、自然豊かな地域です。

表  地目別土地利用面積                    (単位:q2、%)

区 分
総面積
田 畑
宅地
池沼
山林
原野
雑種地
その他
鹿角市
707.34
(100.0)
39.43
(5.57)
32.39
(4.57)
10.07
(1.42)
0.12
(0.02)
61.09
(8.63)
97.95
(13.84)
466.29
(65.92)
小坂町
178.00
(100.0)
5.63
(3.16)
2.91
(1.64)
2.71
(1.52)
0.03
(0.02)
12.44
(6.99)
29.20
(16.40)
125.08
(70.27)
合 計
885.34
(100.0)
45.06
(5.09)
35.30
(3.99)
12.78
(1.44)
0.15
(0.02)
73.53
(8.31)
127.15
(14.36)
591.37
(66.80)

(注)十和田湖の面積を含みません。「その他」とは国有林などです。
            資料:平成12年度土地に関する概要調書

 
2 沿革(発展経過)

鹿角地域は、古くから第一次産業の農林業と第二次産業の鉱業を中心に発展してきました。
なかでも江戸時代の慶長から寛文年間にかけて最盛期を迎えた尾去沢鉱山は、それ以前の奥州藤原氏三代の栄華にも関係があったと伝えられ、当時の経済活動に大きな影響を与えたとされています。
この地域は、明治維新前、南部藩に属していたため、古くから岩手県の盛岡地方、青森県の八戸地方との交流が盛んで、鉱山の繁栄を基盤とした特有の文化を形成してきました。維新後、盛岡県、九戸県、三戸県、江刺県などの変遷を経て、明治4年に秋田県に編入されています。
その後、明治22年の市制町村制によって、当時多く分かれていた村々が2町8村となり、さらに町制施行や昭和の町村合併によって、鹿角郡は花輪町、十和田町、小坂町、尾去沢町、八幡平村の4町1村となりました。そして、昭和47年に小坂町を除く3町1村の合併によって鹿角市が発足し、1市1町となり現在に至っています。
その間、鉄道は、明治42年に小坂〜大館間(小坂鉄道:現在は貨物のみ)が、大正12年に大館〜花輪間が、昭和6年には好摩〜花輪間が開通し、以降尾去沢鉱山、小坂鉱山などの鉱山景気によって鹿角地域の経済と文化の一大飛躍を生み出しました。
しかしながら、長い間、地域の基幹産業として地域経済を支えてきた鉱業も急激な円高や鉱石の枯渇等の影響から昭和50年代より相次いで閉山、縮小するなど、本地域の経済に大きな打撃を与え、人口の流出をもたらしました。
このような厳しい地域情勢のなかで、尾去沢鉱山は、坑道跡地をマインランド尾去沢として開発整備され、歴史・文化の拠点として蘇り、多くの観光客が歴史やロマンを求めて訪れています。
また、鉱山時代の栄華を今に残すルネッサンス風の小坂鉱山事務所や康楽館も整備保全され、最近では全国芝居小屋会議や世界鉱山サミットなどが開催されて、地域を超えた全国的、国際的な芸術・文化の交流の場に生まれ変わっています。
以上にみるように、この鹿角地域は、大きな変動期を経て今日に至っていますが、合併を契機に、恵まれた自然環境と交通条件をはじめ、地域特有の芸術・文化、古くから培われてきた鉱業技術などをまちづくりに活かし、夢のある都市としてさらに発展していくことが期待されています。
 
3 日常的な生活行動圏と移動圏

(1)通勤圏
鹿角地域の通勤圏(15歳以上就業者の通勤先)をみると、大部分が自市町に依存していますが、周辺市町村との関係では鹿角市が小坂町(4.9%)に依存し、小坂町は鹿角市(15.5%)に依存している実態がみられます

表  通勤先(15歳以上就業者、上位5位まで)     (単位:人、%)
区 分
鹿角市
小坂町
第1位
自市
17,600
(89.5)
自町
2,467
(75.2)
第2位
小坂町
954
(4.9)
鹿角市
507
(15.5)
第3位
大館市
539
(2.7)
大館市
173
(5.3)
第4位
田沢湖町
101
(0.5)
その他
1
(-)
第5位
比内町
54
(0.3)
(-)
通勤者合計
-
19,663
(100.0)
-
3,279
(100.0)
資料:平成12年国勢調査
 
(2)通学圏
鹿角地域の通学圏(全ての通学者の通学先)をみると、両市町ともに、自市町への依存度合が比較的高い結果になっていますが、周辺市町村との関係では鹿角市が大館市(4.5%)、小坂町(3.6%)などに依存し、小坂町は鹿角市(10.5%)、大館市(4.3%)などに依存している実態がみられます。

表  通学先(15歳未満の通学者を含む、上位5位まで) (単位:人、%)
区 分
鹿角市
小坂町
第1位
自市
4,507
(91.0)
自町
658
(83.9)
第2位
小坂町
223
(4.5)
鹿角市
82
(10.5)
第3位
大館市
180
(3.6)
大館市
34
(4.3)
第4位
鷹巣町
7
(0.1)
その他
1
(0.1)
第5位
秋田市・
能代市
各2
( - )
(-)
通勤者合計
-
4,953
(100.0)
-
784
(100.0)
資料:平成12年国勢調査

(3)商圏
日常的な買物先を最寄品(生鮮食料品、その他の食料品、日用雑貨品、下着・肌着類)と買回品(前記の最寄品を除く電気器具、家具・インテリア、寝具、高級衣料など)に分けてみると、鹿角市ではいずれも7割以上が自市に依存していますが、小坂町ではいずれも周辺の都市に大部分を依存している実態がみられます。
なかでも小坂町の買回品は、周辺都市への依存度合が比較的高く、大館市(56.6%)と鹿角市(18.8%)に8割程度依存しています。
また、小坂町は、最寄品についても、3割以上が鹿角市に依存し、自町への依存率とほぼ同程度の比率になっています。

 

表  買物先(最寄品・買回品別、上位5位まで)      (単位:%)
区 分
鹿角市
小坂町
最寄品
買回品
最寄品
買回品
第1位
自市
88.7
自市
70.4
自町
33.5
大館市
56.6
第2位
大館市
7.6
大館市
18.7
鹿角市
33.3
鹿角市
18.8
第3位
弘前市
2.3
弘前市
6.2
大館市
26.1
自町
11.7
第4位
盛岡市
0.3
盛岡市
1.4
弘前市
2.7
弘前市
8.0
第5位
秋田市
0.1
秋田市
0.4
盛岡市
0.0
盛岡市
0.2
資料:平成13年度消費購買動向調査報告書
                 (消費購買動向調査事業運営協議会)


 
(4)移動圏
鹿角地域の移動圏(転入者の元の居住地と転出者の移住地)をみると、鹿角市では、転入・転出のいずれも秋田市、大館市、小坂町、能代市の順で多く、小坂町が2・3位を占めています。
また、小坂町は、転入先、転出先のいずれも鹿角市が2割以上を占めて最も多く、大館市と秋田市が2位と3位を占めています。
 

表  転入・転出先(上位5位まで)               (単位:人、%)

区 分

鹿角市

小坂町

転入先

転出先

転入先

転出先

第1位

秋田市

116
13.7)

秋田市

124
11.3)

鹿角市

51
23.1)

鹿角市

62
29.7)

第2位

小坂町
大館市

60(7.1)
60(7.1)

大館市

91(8.3)

大館市
秋田市

18(8.1)
18(8.1)

大館市

19(9.1)

第3位

小坂町

54(4.9)

秋田市

18(8.6)

第4位

能代市
横手市

25(2.9)
25(2.9)

能代市

20(1.8)

飯田川町

3(1.4)

井川町

4(1.9)

第5位

横手市

17(1.5)

鷹巣町
田代町
本荘市

2(0.9)
2(0.9)
2(0.9)

比内町

3(1.4)

合 計

 

849
100.0)

 

1,100
100.0)

 

221
100.0)

 

209
100.0)

(注)1.「転入先」は、転入者の元の居住地を意味しています。
(注)2.届出日を基準としているため、市町間で転入・転出の人数が違う場合があります。
資料:平成14年度住民基本台帳


 
4 社会的経済的概況

(1)人口・世帯
@ 人口   
鹿角地域の人口は、鉱業が盛んであった昭和30年の77,010人をピークに、その後減少し続け、平成12年には46,315人となり、この間、実に30,695人の大幅な減少になっています。
また、年齢3区分人口でみると、平成2年から平成12年の10年間に年少人口(0〜14歳)の割合は、17.5%から13.4%に減少し、逆に高齢人口(65歳以上)の割合が18.5%から27.1%に増加しており、少子高齢化の進行が如実に現れています。
今後、この状況で推移すると、新市においても人口の減少、少子高齢化は避けられないことが予想されます。
 

表  人口の推移                       (単位:人、%)

区分

昭和55年

60

平成2年

12

鹿角市

総人口
(年齢不詳含む)

45,615

44,499

42,407
(42,443)

41,184

39,117
(39,144)

年少人口
0〜14歳)

9,710
21.3)

9,175
20.6)

7,700
18.2)

6,453
15.7)

5,366
13.7)

生産年齢人口
15〜64歳)

30,533
66.9)

28,925
65.0)

27,060
63.8)

25,546
62.0)

23,299
59.6)

高齢人口
65歳以上)

5,372
11.8)

6,399
14.4)

7,647
18.0)

9,185
22.3)

10,452
26.7)

年齢不詳

0

0

(36)

0

(27)

小坂町

総人口
(年齢不詳含む)

10,526

9,728

8,035

7,703

7,168
(7,171)

年少人口
0〜14歳)

2,087
19.8)

1,601
16.4)

1,151
14.3)

1,014
13.2)

862
12.0)

生産年齢人口
15〜64歳)

7,159
68.0)

6,698
68.9)

5,230
65.1)

4,814
62.5)

4,226
59.0)

高齢人口
65歳以上)

1,280
12.2)

1,429
14.7)

1,654
20.6)

1,875
24.3)

2,080
29.0)

年齢不詳

0

0

0

0

(3)

合計

総人口
(年齢不詳含む)

56,141

54,227

50,442
(50,478)

48,887

46,285
(46,315)

年少人口
0〜14歳)

11,797
21.0)

10,776
19.9)

8,851
17.5)

7,467
15.3)

6,228
13.4)

生産年齢人口
15〜64歳)

37,692
67.1)

35,623
65.7)

32,290
64.0)

30,360
62.1)

27,525
59.5)

高齢人口
65歳以上)

6,652
11.9)

7,828
14.4)

9,301
18.5)

11,060
22.6)

12,532
27.1)

年齢不詳

0

0

(36)

0

(27)

資料:国勢調査(各年10月1日)

 
A 世帯
鹿角地域の世帯数は、平成2年まで緩やかな減少傾向にありましたが、その後は微増傾向を示し、平成12年には14,886世帯となっています。
その一方で、一世帯当たりの人員は減少し、平成12年の世帯規模は3.11人となり、核家族化が進行している実態がみられます。
 

表  世帯の推移                  (単位:世帯、人)

区  分

昭和55年

60

平成2年

12

鹿角市

世帯

12,125

11,999

12,076

12,245

12,315

世帯規模

3.76

3.71

3.51

3.36

3.18

小坂町

世帯

3,111

3,178

2,647

2,638

2,571

世帯規模

3.38

3.06

3.04

2.92

2.79

合 計

世帯

15,236

15,177

14,723

14,883

14,886

世帯規模

3.68

3.57

3.43

3.28

3.11

資料:国勢調査(各年10月1日)

 
(2)産業別就業人口
鹿角地域の産業別就業人口は、この四半世紀の間に第一次産業の減少が著しく、第一次産業から第二次産業、第三次産業へとシフトしました。
かつて、本地域は、鉱山の繁栄を背景に、農林業も盛んな地域で、稲作を中心とした畜産や果樹、野菜などの複合経営が早くから行われ、また広大な山間・中山間地帯においては、林業も盛んに営まれていました。
しかしながら、日本全土における産業構造の変化が本地域でも同様に生じ、平成12年の第一次産業就業人口は3,510人(全産業の15.3%)とさらに減少しています。
また、第二次産業は、昭和50〜60代にかけて相次いで鉱山が閉山、縮小したものの、電気機械を中心とした企業誘致によって平成12年の就業人口は7,605人(同33.2%)を維持しています。
一方、第三次産業は、自然資源を活かした観光サービス業の増加などによって平成12年の就業人口は11,820人(同51.5%)と増加傾向を示しています。
この産業別就業人口の構成を県全体(第一次産業11.0%、第二次産業30.9%、第三次産業58.1%、)と比較してみますと、第一次産業と第二次産業は県より高く、第三次産業は県よりも低い値になっています。

表  産業別就業人口の推移              (単位:人、%)

区分

昭和55年

60

平成2年

12

鹿角市

一次産業

6,269
(26.9)

5,790
(26.1)

4,701
(21.6)

3,582
(17.2)

3,160
(16.1)

二次産業

6,862
(29.4)

6,272
(28.3)

7,048
(32.4)

6,977
(33.4)

6,280
(31.9)

三次産業

10,190
(43.7)

10,093
(45.5)

9,967
(45.9)

10,322
(49.4)

10,217
(52.0)

分類不能

13
(0.1)

13
(0.1)

8
(0.1)

2
(0.0)

6
(0.0)

23,334
(100.0)

22,168
(100.0)

21,724
(100.0)

20,883
(100.0)

19,663
(100.0)

就業率

51.2

49.8

51.2

50.7

50.2

小坂町

一次産業

621
(12.7)

620
(13.4)

479
(13.0)

368
(10.5)

350
(10.7)

二次産業

2,430
(49.5)

2,312
(50.2)

1,653
(45.0)

1,458
(41.3)

1,325
(40.4)

三次産業

1,858
(37.8)

1,669
(36.3)

1,545
(42.0)

1,702
(48.2)

1,603
(48.9)

分類不能

0
(0.0)

3
(0.1)

0
(0.0)

0
(0.0)

1
(0.0)

4,909
(100.0)

4,604
(100.0)

3,677
(100.0)

3,528
(100.0)

3,279
(100.0)

就業率

46.6

47.3

45.8

45.8

45.7

合計

一次産業

6,890
(24.4)

6,410
(23.9)

5,180
(20.4)

3,950
(16.2)

3,510
(15.3)

二次産業

9,292
(32.9)

8,584
(32.1)

8,701
(34.3)

8,435
(34.6)

7,605
(33.2)

三次産業

12,048
(42.7)

11,762
(43.9)

11,512
(45.3)

12,024
(49.2)

11,820
(51.5)

分類不能

13
(0.0)

16
(0.1)

8
(0.0)

2
(0.0)

7
(0.0)

28,243
(100.0)

26,772
(100.0)

25,401
(100.0)

24,411
(100.0)

22,942
(100.0)

就業率

50.3

49.4

50.3

49.9

49.5

資料:国勢調査(各年10月1日)

 
(3)産業別純生産額
産業別純生産額とは、地域内で生産活動をしている企業や農家などが新たに生み出した生産額(付加価値額)から中間投入額(物的経費、減価償却費など)を除いたものであり、各産業の地域経済への寄与を示す指標です。
この指標をもとに、本地域の産業別純生産額の推移をみると、第一次産業と第二次産業が減少傾向を示し、第三次産業が増加傾向を示しています。
なかでも第三次産業の占める割合が高く、全体の7割程度、続いて第二次産業がおよそ2割となり、第一次産業が全体の6%と1割にも満たない状況となっています。
 

表  産業別市町内純生産額の推移          (単位:百万円、%)

区分

平成8年

10

11

12

鹿角市

一次産業

7,052
(7.6)

6,124
(6.9)

5,912
(6.8)

5,585
(6.7)

4,804
(5.9)

二次産業

27,236
(29.5)

24,945
(28.3)

24,997
(28.6)

22,542
(27.3)

20,731
(25.3)

三次産業

58,217
(62.9)

57,170
(64.8)

56,465
(64.6)

54,504
(66.0)

56,237
(68.8)

92,505
(100.0)

88,239
(100.0)

87,374
(100.0)

82,631
(100.0)

81,772
(100.0)

小坂町

一次産業

823
(4.5)

1,056
(5.8)

1,131
(6.3)

1,019
(5.6)

1,095
(6.0)

二次産業

6,816
(36.9)

4,577
(25.3)

4,969
(27.8)

5,403
(29.4)

2,643
(14.4)

三次産業

10,802
(58.6)

12,499
(68.9)

11,779
(65.9)

11,949
(65.0)

14,549
(79.6)

18,441
(100.0)

18,132
(100.0)

17,879
(100.0)

18,371
(100.0)

18,287
(100.0)

合計

一次産業

7,875
(7.1)

7,180
(6.7)

7,043
(6.7)

6,604
(6.5)

5,899
(5.9)

二次産業

34,052
(30.7)

29,522
(27.8)

29,966
(28.5)

27,945
(27.7)

23,374
(23.4)

三次産業

69,019
(62.2)

69,669
(65.5)

68,244
(64.8)

66,453
(65.8)

70,786
(70.7)

110,946
(100.0)

106,371
(100.0)

105,253
(100.0)

101,002
(100.0)

100,059
(100.0)

資料:秋田県県民経済計算年報

 
(4)市町民分配所得
市町民分配所得とは、地域経済の循環を分配面からみたものであり、土地・労働力・資本などの生産要素を提供した市町民に、その対価として形成される地代・賃金・企業利潤などの所得がどの程度分配されたかを示す指標です。
この指標によると、鹿角地域の市町民分配所得は、平成11年度まで微減傾向をたどってきましたが、平成12年度になって増加し、1,037億円となっています。
また、一人当たりの市町民分配所得についてみると、平成12年度では平均で2,177千円となっており、この額は、県の平均額2,448千円の9割弱程度にとどまっています。
 

表  市町民分配所得の推移              (単位:百万円、千円、人)

区分

平成8年度

10

11

12

鹿角市

市民分配所得
(百万円)

93,380

90,797

88,443

84,263

83,704

市民一人あたり分配所得(千円)

2,232

2,196

2,160

2,074

2,076

人口(住民基本台帳)

41,836

41,347

40,950

40,622

40,325

小坂町

町民分配所得
(百万円)

16,536

17,988

16,913

17,271

19,956

町民一人あたり分配所得(千円)

2,139

2,357

2,250

2,330

2,740

人口(住民基本台帳)

7,729

7,632

7,517

7,413

7,284

合 計

市町民分配所得
(百万円)

109,916

108,785

105,356

101,534

103,660

市町民一人あたり分配所得(千円)

2,218

2,221

2,174

2,114

2,177

人口(住民基本台帳)

49,565

48,979

48,467

48,035

47,609

【参考】

秋田県

市町村民分配所得(百万円)

3,094,928

3,077,763

2,982,426

2,952,326

2,911,319

市町民村一人あたり分配所得(千円)

2,558

2,553

2,483

2,468

2,448

人口(住民基本台帳)

1,209,970

1,205,552

1,201,072

1,196,166

1,189,279

資料:秋田県市町村民所得統計(推計)年報

 
(5)財政
鹿角地域の決算額の推移をみると、一般財源で大きな割合を占めている地方交付税は、平成13年度に鹿角市が42.2%、小坂町が43.9%といずれも4割以上を占め、依然として高い依存度を示しています。
一方、自主財源の主体をなすべき市町税は、平成13年度で鹿角市が18.4%、小坂町が15.6%と、いわゆる「3割自治」にも満たない極めて低い状況にあります。
また、住民一人当たりの歳出額は、平成13年度で鹿角市が76.9万円に対し、小坂町は105.7万円と大きく、1市1町合計で81.3万円になっています。
このような財政状況のなかで、地方財政を取り巻く情勢は一層厳しさを増してきており、行政改革大綱に基づく財政の効率化と経費の節減合理化を積極的に進めていく必要があります。
 

表  決算額の推移                         (単位:千円、%)

区分

平成9年度

10

11

12

13

鹿角市

歳入

総額

29,130,799

28,882,901

31,558,561

30,691,449

32,021,384

一般会計

18,663,776

18,060,583

19,895,296

17,572,695

18,725,749

 

うち
市税

3,786,562
20.3)

3,528,470
19.5)

3,521,819
17.7)

3,418,239
19.5)

3,445,679
18.4)

うち
地方交付税

7,750,751
41.5)

7,836,996
43.4)

8,286,313
41.6)

8,304,956
47.3)

7,903,868
42.2)

特別会計

10,467,023

10,822,318

11,663,265

13,118,754

13,295,635

歳出 

総額

28,569,657

28,047,750

30,702,079

29,617,382

30,700,333

一般会計

18,427,191

17,612,090

19,323,837

17,021,550

17,932,924

特別会計

10,142,466

10,435,660

11,378,242

12,595,832

12,767,409

住民一人当たり歳出額
(住基人口、人)

691.0
41,347)

684.9
40,950)

755.8
40,622)

734.5
40,325)

769.0
39,922)

小坂町

歳入

総額

8,669,406

9,198,851

8,327,715

8,463,539

7,861,221

一般会計

5,732,302

6,190,624

5,468,643

5,190,188

4,680,805

 

うち
町税

706,169
12.3)

667,231
10.8)

675,515
12.4)

667,811
12.9)

728,385
15.6)

うち
地方交付税

2,222,967
38.8)

2,224,987
35.9)

2,251,539
41.2)

2,242,870
43.2)

2,056,005
43.9)

特別会計

2,937,104

3,008,227

2,859,072

3,373,351

3,180,416

歳出

総額

8,411,058

8,962,418

8,077,965

8,177,098

7,599,426

一般会計

5,608,208

6,093,367

5,368,691

5,067,179

4,570,731

特別会計

2,802,850

2,869,051

2,709,274

3,109,919

3,028,695

住民一人当たり歳出額
(住基人口、人)

1,102.1
7,632)

1,192.3
7,517)

1,089.7
7,413)

1,122.6
7,284)

1,056.5
7,193)

合計

歳入

総額

37,800,205

38,081752

39,886,276

39,154,988

39,882,605

一般会計

24,396,078

24,251,207

25,363,939

22,762,883

23,406,554

 

うち
市町税

4,492,731
18.4)

4,195,701
17.3)

4,197,334
16.5)

4,086,050
18.0)

4,174,064
17.8)

うち
地方交付税

9,973,718
40.9)

10,061,983
41.5)

10,537,852
41.5)

10,547,826
46.3)

9,959,873
42.6)

特別会計

13,454,127

13,830,545

14,522,337

16,492,105

16,476,051

歳出

総額

36,980,715

37,010,168

38,780,044

37,794,480

38,299,759

一般会計

24,035,399

23,705,457

24,692,528

22,088,729

22,503,655

特別会計

12,945,316

13,304,711

14,087,516

15,705,751

15,796,104

住民一人当たり歳出額
(住基人口、人)

755.0
48,979)

763.6
48,467)

807.3
48,035)

793.9
47,609)

812.9
47,115)

資料:鹿角市及び小坂町決算資料

 
5 交通網

鹿角地域の幹線道路網は、東北自動車道(鹿角八幡平I.C、十和田I.C、小坂I.C)を基軸として、国道5路線と県道8路線が縦軸と横軸を形成しており、そのうち主要な3路線(東北自動車道、国道282号線、県道大館十和田湖線(通称:樹海ライン))が鹿角市と小坂町との結びつきを強め、さらには弘前市、青森市、盛岡市など他県の中心都市へのアクセスを容易にしています。 
一方、公共交通機関としてバスやタクシー、そして鉄道は、JR花輪線が盛岡から八幡平の山並みを越え、鹿角市の市街地を通り大館市まで地域の足として、それぞれ重要な役割を果たしています。さらに本地域の周辺には、大館能代空港(秋田北空港)が整備され、高速交通ネットワークの整備の面では県内で最も条件の整備された地域となっています。
このような恵まれた高速交通ネットワークも新市のまちづくりに活かしていかなければなりません。
 
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