2 新市まちづくりの理念と将来像 (1)まちづくりの基本理念
前述の「U鹿角地域の課題と発展の方向性」において、鹿角地域の現状と分析から地域的課題を次の9項目に整理しました。
@ 人口の減少、少子高齢化、核家族化への対応
A 停滞している産業の振興
B 市民分配所得の向上
C 住民の広域的活動への対応
D 魅力的な市街地整備と商業の活性化
E まちづくりへの交通網の活用と生活空間に配慮した道路整備
F 健やかで安心できる福祉サービスの確立
G 歴史遺産・地域文化の伝承
H 地方分権の推進と行財政基盤の強化
地域社会が、成熟社会、低成長社会状況に直面し、国・地方とも厳しい財政状況にある中で、新市がこれらの課題に取り組むためには、行政、住民がともに「自立」し、自立した個人、団体と新市が「協働」してまちづくりを進めていくことが必要です。
また、近隣自治体、都市等との「連携」を深め、地域の能力を最大限に発揮できる体制づくりによって新市が持続的に発展していくことが可能になります。
こうした考え方に基づき、新市においては、「自立」、「協働」、「連携」の3つを基本理念としてまちづくりを進めます。
@ 「自立」
今後予定されている「第2次分権改革」において市町村の抜本的な制度改革がどのような方向をたどるかは不透明な状況にありますが、三位一体改革の議論等を見るとき、さらなる権限の移譲が行われ、行政の関与の整理が進むとともに、少なくとも市町村はより一層の自立と自助を求められることは確実です。
また、すべての地域が最低限満たすべき基準を確保するという視点から、地域ごとの最適化を求めるという流れの変化の中で、市町村は、自らの将来に対して自ら方向を見極め、自ら個性豊かな地域社会を築きあげていくという、地方自治本来の姿を実現していくことが、改めて重要になっています。
そのため、新市においては、真に自分たちの力で豊かな暮らしと地域社会を築いていく必要があり、住民が自分たちのまちを自分たちの力で興そうという自助・自立≠フ姿勢を育むための人づくりを進めます。
また、地域と住民の自立を促すためにも、まずは、地域産業の振興により住民個々人の所得の安定、増加を図りつつ、経済的にも自立できるようなまちづくりを進めるとともに、地域コミュニティ、ボランティアグループの育成支援によってまちづくりサポート体制を強化し、安定した財政基盤と住民自治の基盤づくりを図ります。
A 「協働」
まちづくりの基礎となるのは、永い間培われてきた地域の風土・歴史・文化の中で、住民が鹿角地域の環境・特性に応じた豊かさを享受し、自らのまちに誇りと愛着を持ち、まちの遺伝子として住民がこれを継承していくことです。
まちに誇りと愛着を持つためには、住民自らも行政に参加し、まちの問題を自らの問題として積極的に解決しようという風土を醸成していくことが必要です。
そのため、中心となってまちづくりを担う人材の育成・確保や、その前提となる働く場の確保をはじめ、子どもたちの教育を地域全体で支える環境づくり、住民が交流し、学び、楽しむ場づくりなどを通じて協働の芽を育みます。
閉塞感の漂う社会経済情勢の中にあって、住民が誇りと愛着という遺伝子を受け継いでいくことで、持続的に発展可能なまちづくりが実現されるものと考えます。
地域全体が輝き、生きがい・やりがい・働きがいを実感できるまちづくりを目指し、公共交通機関や上下水道の整備、学校教育、子育て環境づくり、保健・医療・福祉、消防・防災、防犯といった多様な施策を住民や関係団体との協働を基本に総合的に推進します。
B 「連携」
鹿角地域は、産・学・官をはじめ、公共、民間施設等においても、すべてのものが備わっているわけでもなく、今後も完備を求めるには限りがあり、また、地域が生き残るためには、これらをすべて揃えることが得策であるとは必ずしもいえません。
したがって、新市のまちづくり戦略もすべてを新市単独で進めることにこだわらず、広域で連携し合う視点が重要です。広域での連携という視野に立てば、活用できる資源はいたるところにあり、これを地域の発展に結びつけるような方策こそが必要なのです。
そのため、情報・通信技術を活用し、地域内外への情報提供を充実することによって広域的な連携を図り、地域づくりに知恵を与えてくれるいろいろな分野の人たちとの「知のネットワーク」を広げ、広域的な地域資源を活用しながら地域の潜在能力を最大限に発揮することが新市の発展のかぎになります。
(2)新市の将来像
新市においては、「自立」、「協働」、「連携」の3つをまちづくりの基本理念とし、それぞれの人が自分の生き方、暮らし方に自信を持ち続けることができる
『歴史・文化・自然が彩る環境共生都市』
〜自立・協働・連携による
『新しいまち』の創造をめざして〜
を実現します。
この将来像は、合併後においても、この鹿角地域で、誇りをもって活動していくことができるよう、強い願いをこめたメイン・テーマであり、また、行政区域の異なる1市1町の住民が速やかに一体性を築き、地域が一丸となってまちづくりを進めるためのメイン・テーマでもあります。
3 新市まちづくりの基本的方向
前でのべた地域の「自立」と「協働」、「連携」による新市の将来像を具現化するために、次の6つの基本的なまちづくりの方向に基づき、さまざまな施策を推進します。
@ 自然と魅力があふれるまち
− 人と自然と文化が共生し、技術と魅力を活かしたまちづくり −
A 活力と豊かさを育てるまち
− 大地の恵みと地域の技術を最大限に活かした活力あるまちづくり −
B ふれあいとつながりを創るまち
− 人と情報が活発に交流する活動的なまちづくり −
C 郷土愛とゆとりを育てるまち
− 郷土愛を持ち、心豊かにゆとりを持って暮らせるまちづくり −
D 安心と生きがいを育てるまち
− だれもが健康で生きがいを持って暮らせるまちづくり −
E 工夫と参加で創るまち
− 行財政改革を進め、住民と協働で創造するまちづくり −
また、これまでに述べた新市のまちづくりの課題、基本理念、新市の将来像とこれらのまちづくりの基本的な方向を図で総括すると、次のようになります。
|