無線航空機(ドローン)操縦技能士の資格取得の経緯


 資格取得のきっかけ

 令和元年(2019年)9月に日本樹木医会 「秋田支部&山形支部」合同研修会が大仙市を中心にして実施された。
 内容的には角館の桜守で知られている「黒坂樹木医」の講演をベースに、近隣の古老木も一緒に見学・観察しようという盛り沢山な企画であった。 そんな中、二日目の午前に観察した仙北市の「神代杉」は、過去に落雷被害に遭い、樹木上部に幹割れ&枝枯れが生じていた。 しかし、上空、約40Mの世界なので、危険覚悟で木登りしない限りその全容を把握することは到底不可能であった。その時、山形支部から参加した一人が、その場で持参していたドローンを飛ばし、空撮した写真を見せてくれた。結果、この写真1枚で、すっかり虜になってしまった。

※左が秋田県の巨樹 №177に掲載されている写真、中央&右が山形の樹木医から提供された写真。

下からだと「高所の枯れ」は全く確認できない。しかし、ドローンを飛ばすと「明確な被害」が確認できる。

この研修から帰宅した後、早速、ネットで検索、費用と自宅からの走行距離を加味して青森市のドローンスクールに入校、困難で長~い挑戦が始まった。

1、ドローンスクール名    青森ドローンリンクアカデミー

2、講習時のドローンの使用機種 
 ドローンの世界シェア70%を誇る中国DJI(ディージェーアイ)製のファントム4→セットで25~30万円程する高機能な上位機種。 



 3、機体の制御モード
(1)Pモード(ピーモード→自動制御モード) 
 送信機から手を離すと、機体はその場でホバリングをする。そのため、じっくり考えてからの操作が可能であり、初心者でも難なく制御可能。

(2)ATTIモード(エーティーティーアイモード→略してアッチモードとも言う→手動操縦モード)
 送信機から手を離すと、機体は勝手な方向に移動する。そのため、じっくり考えるゆとりはなく、ホバリングさせるには頻繁な制御操作が必要。ドローンスクールの目標(卒業試験)は「このモードでの移動&ホバリング技術の確保」が中心であった。

4、主な日程時間 4日×8時間=32時間

  1日目 終日座学  
  2日目~3日目 Pモードでの飛行講習+Aモードでの飛行講習→「この二日間で合否が決まる。!」
  4日目 学科試験+修了検定+合格者は野外での飛行研修

5、経費 20万程度

6、ドローンスクールでの研修内容等

 事前に、たっぷり練習してから受講すれば、若者と一緒に卒業できたのだが、まさに、「後の祭り」であり、アドリブが効かない年配者には、過剰なほどの事前学習が必要なことを思い知らされた。

①正面方向→操縦者の向きと機体の進行方向が「同じ」場合を言い、機体の進行方向と操縦ステイックの方向が「同じ」なので、比較的制御が楽である。 これだけは楽勝であった。

②対面方向→操縦者の向きと機体の進行方向が「向かい合っている」場合を言い、機体の進行方向と操縦スティックの方向が「真逆」になる。 最初は何とか対応できたが、すぐやれなくなった。

③右方向・左方向→操縦者の向きと機体の進行方向が「直交している」場合を言い、機体の進行方向と左右方向への操縦スティックの方向が共に90度ずれる。 最初から何もできなかった。


(2)実技研修時の指導内容
 最初はPモード(自動制御モード)での練習を行った。このモードは、じっくり考える時間があるため、ちょっぴり自信を持つことが出来た。

(3)次にATTIモード(手動制御モード)での練習では、一気にパニックに陥り、私のドローンスクールにおける研修は、ここで終わった。

(4)私がそんな状況にある中、若い受講者は淡々と操作をこなして先の課題に進んでいた。 

(5)結果として、修了試験に臨むだけの技能が殆ど身に付かないまま、4日間(32時間)の講習が修了し、当然ながら落第してしまった。指導教官からは、「やり方は分かったと思うので補習は行わない。自分で練習し、修了試験レベルの実力がついたと判断できたら連絡をください。いつでも再試験をしてあげる」という「温かいお言葉」をいただき、講習会場を後にした。


7、落第後の取り組み
 先日、女優の山村紅葉(60歳)が「乗用車の免許取得に300万円もかかった。」という記事を目にした。
車は自動車学校以外の場所で練習することができないため、1時間ウン千円という講習費が必要である。
しかし、ドローンの場合、小型のトイドローンであれば免許を必要としないので学校以外での練習が可能である。そのため、急遽、下記のトイドローンを購入し、市内の体育館を貸し切って練習を開始した。


(2)練習会場の確保
 会場借用交渉時、管理者からは、「ドローンを室内で飛ばして、窓・天井・壁を壊すのでは?」と危惧されたが、飛ばすのでなく静止練習であることで納得してもらい、尾去沢公民館・花輪体育館・鹿角市記念スポ-ツセンター等を借用し練習を重ねた。下記のレシートはその一部である。無駄な支出ではあるが、山村紅葉の300万と比較すると、タダみたいなものである。!


(3)練習状況
 ドローンスクールと同様、コーンを数個配置し、それを目標にしての移動&静止練習を行った。練習期間は11月・12月・1月の3ヶ月にも及んだ。結果、マイ練習機では何とか課題に沿った動作ができるようになった。

(4)追試験&合格!
 青森市では会場確保が困難とのことから、私の練習会場である「鹿角市記念スポーツセンター」で検定を実施して頂き、何とか合格のお墨付きを頂くことができた。若い受験生が4日で取得するところを、足掛け4か月かけたことになるが、「まあ、取れただけ儲けもの」と割り切り、今後は、じっくり時間をかけて操縦技術を磨きたい。




※最期に ドローンスクールで学んでの個人的感想(年寄りの愚痴!)

〇経費的には
 普通車の免許取得費用が20万強、ドローンスクールは20万~30万ということで、決して安価ではない。

○車の免許取得の場合
 実技・学科共に、原則、1時間単位での講習のため、順次頭に入ったような気がする。

〇ドローンの場合は
座学1日(8時間)+技術研修3日(24時間)=32時間
 

1、(高齢者の)私は、集中力が継続せず限られた日数では到底ものにならなかった。

2、そのためには、
①自動車学校の様に、1日1時間~2時間の小刻みな研修にするか?
②無理であれば、事前に「練習機を購入して、練習をしなさい」という「強い助言」が欲しかった。!

 ※ 何はともあれ、合格して良かった!