鹿角地方のけいらん
小豆のこし餡に水あめ、塩、コショウ、クルミのみじん切りを混ぜ合わせた餡玉。
これを、うるち米の粉と白玉粉の皮で包み卵型に丸めて熱湯でゆでて冷水に取る。
椀に上記の「けいらん」と、椎茸、みつ葉を盛り付け、
昆布、椎茸のだしで作ったすまし汁をかけて、熱いうちにいただく。
これが秋田県鹿角地方の「けいらん」という郷土料理です。
先年女房の実家がある岩手県遠野の食べ物屋さんでで「けいらん」という品書きを見つけて、
注文したところ、白湯の中に中身が餡(コショウやクルミの入らない)だけの「けいらん」を
浮かべた、私たちのけいらんの原形とも言うべきものが出てきました。
おふくろの姉の住む岩手県岩泉地方にも別の名前の同種の食べ物があると聞きました。そこで
教えて下さい、貴方の故郷の「けいらん」を
けいらんは、かつての南部藩領内全域で食されていたとされる。私の感じでは遠野の形(味付けをしない単なるゆで汁の中に浮かべる)が素朴でそれが原形か?と思う。同じく岩手県の野田村では黄身に似せるために辛子を使ったり、下北半島川内町ではカンピョウでだしをとったりと、地方によってだしと餡に微妙な違いが見られる。また、鹿角地方では主に仏事で食されるが、遠野などでは結婚式など晴れの料理として食されることが多いともいう。ちなみに現代人の私達の結婚式にも出してくれるように会場の川村旅館さんに頼んで、クルミ餡と漉し餡をかけたモチとともに大変好評であった。
江戸時代の料理の本『料理物語』などに見られる料理ともいわれ、一説には主に北前船の就航地に分布しているとも。(不思議みちみち惑星AOMORI12月-5=しかし私はこの説に全面的には賛成しない。)また、そうめんを敷いて鶴の巣ごもりと称する地方もある(岩泉町など)鶴の巣ごもりと言った時、全く別の食べ物もあるので注意=ウズラの卵を長いもの千切りにしたものの中において、食べる際にしょうゆ、好みでわさび、青のりをかけ、箸で全体を混ぜ合わせて食べるもの。また九州地方には「けいらん」もしくは「けいらんまんじゅう」というお菓子があって同名ながらその名前は「帰らない」という語源であり全く違う食べ物である。
ちなみに台北には黒胡麻の餡の入った団子を熱い湯の中にいれて供する「清芝麻湯円」という食べ物があるそうだ。
岩手県
遠野市土淵町
もち粉に熱湯を加えて捏ね、かために練り上げた小豆あんを入れて鶏卵形にし、熱い湯のなかでふっくらと茹であげたものを、茹で汁ごとお椀に盛ってすすめる。
野田村のけいらん(鶏卵)
くるみ、黒砂糖、辛子をもち米の粉の団子でくるんでゆで、椀種にしたお吸い物。昔、野田村で禁忌が非常に厳しかった頃、精進料理に用いたもの。だし汁=昆布、かつお節、塩・醤油
青森県
下北半島の川内町ではダシに凝り、秋に採れた夕顔を薄切りにして串に刺し、囲炉裏で焼いて保存する、つまり手製の干瓢の出来具合が「けいらん」の味を決めるという。野辺地町では、祇園祭とともに京大阪から伝承された、町で一番大切な料理だとされる。
「けいらん」は、普通食事が進んでもうお開きになる頃に出され、料理の様式では後段の部に当り、夏は冷たく、冬は熱々にして用意されます。(思い立ったら北東北/北東北こだわり百科)
川内町
もち米をこねて鶏の卵の形に丸め、中に小豆のあんを入れ、それを昆布としいたけのだしでとった汁で食べるもち料理。稲刈りの終わった秋仕舞いになるとけいらんを作る。秋仕舞いには男どもが集まり、競ってけいらんを食べたという。形が鶏の卵に似ていることからこの名が付いた。秋仕舞いのほかに、精進料理として法事のときにも作られていた。見た目も上品で優雅な白いけいらんは、もち米とあん、だしとの絶妙な味わい。
むつ市
(1)冠婚葬祭、秋仕舞い等に出される料理。
(2)祝いごとには、紅白、仏儀には青い色をつける。
だし汁(煮干し、昆布、酒、しょうゆ、水)
野辺地町
器にそうめんを敷き、その上にけいらん2個を盛り、椎茸の千切り2本くらい上に乗せ、汁をはる。
※汁は、こぶ・椎茸の汁のだしで、しょうゆで味付ける。
八戸でも
秋田県
鹿角市のけいらん
1)小豆のこしあんに水あめ、塩、コショウ、クルミのみじん切りを混ぜ合わせ練り、手で丸めて10個のあん玉を作る。
(2)うるち米の粉に熱湯を大さじ2〜3杯入れこね合わせる。白玉粉も同様にして耳たぶ位の固さにし、前のうるち粉と混ぜる。
(3)よくこねてねばりを出し、10等分して、手粉を使いながらあん玉を包み、卵形にまとめる。
(4)熱湯でゆでてから冷水に取る。
(5)4カップの水にこんぶ、しいたけですまし汁を作り、わんにけいらん、しいたけ、みつ葉を盛り付け、汁をかけて熱いうちに食べる。
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