私の「趣味の世界」の1つに
日曜大工
がある。しかし、せっかく
建物
を
作っても
、電気工事だけは資格がないと作業が出来ない。
現役時代の40代前半時、この資格を取るべく勉強を開始した。しかし、交流理論に入った途端全く理解不能になり、それを完全理解するだけの時間も無かったため、受験をあきらめた。
それから30年後、定年退職から10年を経て「古稀70歳」を迎えた時、年相応に膝が悪くなり、子供の頃からやり続けてきた「屋根の雪下ろし」をすることが不可能になってしまった。
仕方なく
電気融雪装置
の見積もりを依頼したら、電気工事士による人件費がかなりを割合を占めていた。日曜大工同様それを、自分がやればその人件費が無料になり、経費を大幅に削減できるはずだという名案?が浮かんだので早速
ネット
で検索し受験申込をした。
1、学科試験への取り組み
齢70を過ぎた老人の頭脳で、果たして難解な電気工学を含んだ学科で合格点へ到達出来るかどうか不安あった。家族からは年寄りの頭では無理だから、近くの
工業系高校電気科
に入学して「生涯学科免除」の資格を取ったら・・?という発展的な意見をもらったが、独学での国家試験突破コースを選択した。
(1)参考文献
学科試験のために準備した参考文献は下記の2冊 合計3,060円である。 これは
e-hon
経由で入手した。
・
書
名 :第二種電気工事士筆記・技能 徹底解説テキスト 平成24年度試験版 →使用目的 基礎勉強
著 者 名:第二種電気工事士教育研究会/編
出 版 社:実教出版
税込価格:
1,800
円
・
書
名 :第二種電気工事士筆記試験模範解答集 10年間問題と解答 平成24年版 → 使用目的 過去問への取り組み
著 者 名:「工事と受験」編集部/編
出 版 社:電気書院
税込価格:
1,260
円
(2)過去問分析
過去問に関して、片っ端から取りかかっても傾向をつかめないため、集中的に同じ系統の問題だけに当たるようにした。 必要と感じた方は参考にして頂きたい。
1、「第二種電気工事士筆記試験模範解答集10年間問題と解答」の出題順の分析
PDF
ファイル
2、「第二種電気工事士筆記試験模範解答集10年間問題と解答」の内容順の分析
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ファイル
(内容分析は私の独断と偏見)
10年分の出題傾向を平均してみると @オームの法則が2題、A器具関係が5題、B接地工事関係が3題、C電気工事法令関係が2題、D内線工事関係が2題と、この5項目からほぼ半分が出題されている。
参考のために、上記の問題集後部に付属している法令集も同様に分析してみた。 年度が変わるとページが変わるが、何かの参考にして頂ければ幸いである。
1、電気工事士法令 記載順
PDF
ファイル
2、電気工事士法令 50音順
PDF
ファイル
(3)勉強しての感想
古稀70歳に入ってからの勉強は大変だろうと予測していたが、頭と体が一番新鮮な「午前の時間帯」に勉強できるため、サクサクと頭の中に入っていく実感を覚えた。
(4)学科試験
この電気工事士資格は学科・技能とも、年1回しか受験できない。
・期日 6月3日(日)
・会場 岩手県滝沢村
アピオ
(5)試験の内容
自動車免許と同じマークシート方式の四者択一問題である。一般問題30題、配線問題20題、合計50題が出題された。「60%正解で合格」ということからか、大部分の受験者は1時間程度で途中退場したが、私は、目標を満点においていたので、面倒な計算問題も自力で解くべく試験時間の2時間たっぷり粘った。それを見ていた年配の試験官が、ボケが進行した年寄りを哀れに思ったのか、じっと、私の机の前に立って心配そうにのぞき込んでいた。 「時間です」と言われて周囲を見渡したら90%以上が途中退場していた。
(6)試験の結果
結果は、2時間も粘った甲斐?があり、第一関門である学科試験の合格通知を手にすることが出来た。
この受験勉強を始めたのが、砕けたヒザの遊離軟骨除去で入院した2月初旬、受験したのがその年の6月3日(日)なので、ほぼ4ヶ月の受験勉強で合格したことになる。 工業高校を卒業すれば学科試験は免除になるようであるが、そのかわり、卒業まで3年も必要である。 何はともあれ工業高校に入る状況にならなくて良かった!。
2、技能試験
一年目
(1)取り組み
内面的には「思いがけず」、対外的には「予想通り?」の合格通知を受け、次のステップに取り組んだ。
@今年度の
予想問題
をダウンロードしてプリントアウトした。
A次に必要な
工具類
を
ネット
で購入した。
B必要な材料をネットで購入した。購入先は問題集に掲載されているショップを利用した。
C配線の基礎知識は
かずわん先生
のホームページを参考にした。
(2)試験期日等
期日 平成24年7月29日(日)
場所 岩手県滝沢村 岩手県立大学
(3)結果
独学の悲しさで、ケーブルの切断時「
指定されたケーブルの長さ+結線に必要なケーブルの余裕分
」に決定的なミスがあり、不合格の通知を受けてしまった。具体的には、電源、引っかけシーリングの余裕は、ほぼゼロで良いが、スイッチ・コンセント・レセプタクル・ジョイントボックス・アウトレットボックスの設置には100o程度の余裕が必須である。そこのカットミスが命取りになった。
今考えると、まだ合格するだけの技能が備わっていなかったというのが正解なのかもしれない。この電気工事士の試験は学科・技能とも年一回しか受験の機会が与えられない。そのため、次回の技能試験は来年度になる。いい加減な作業練習で再度技能を落とせば、また学科のやり直しになるため、必ず受かる!という強い気持ちで取り組んだ。
3、技能試験
二年目
(1)取り組み
長さなんてアドリブで何とかなるだろうと、ケーブルの長さをほとんど意識しない練習しかしていなかった反省から、今度は、マエバラ企画で情報提供している予想問題をベースにして複線図作成と配線作業を繰り返した。この
予想問題
は、単なる複線図作成のみならず、結線方法・配分されるケーブル等が本番の試験並みに掲載されているため、大変に参考になった。 なお、
解答は別サイト
に掲載されている。
今回本試験で出題されたbP3を例に「我流複線図」を紹介します。二年目はすべての練習時にこの我流複線図作成→配線作業を行った。
NO.13
(7月28日(日)・出題)
予想問題で指定されたケーブルの長さと種類です。
同様に、指定された材料表です。
材料表
VVF2.0−2C 青色シース(黒、白)・・250mm
VVF1.6−2C (黒、白)・・800mm
IV1.6(黒)・・550mm×2本
IV1.6(白)・・450mm×2本
アウトレットボックス・・1個
ゴムブッシング(19)・・2個
ゴムブッシング(25)・・1個
ねじなし電線管(E19)・・120mm×1個
ねじなしボックスコネクタ(E19用)・・2個
引掛シーリング・角形・・1個
レセプタクル・・1個
連用取付枠・・1枚
埋込連用片切SW・・2個
埋込連用1個口コンセント・・1個
リングスリープ(小)・・3個
差込形コネクタ・4本用・・1個
施工条件
・連用取付枠はイ・ロのSW、1個口コンセントに使用すること。
・ジョイントボックスは4本の接続箇所は差込形コネクターによる接続とし、他の個所はリングスリーブによる接続とする。
・金属管とボックスは電気的に接続すること。
作業1 複線図を書く。 2分〜3分程度で作成
※ 昨年は、この後、すぐ配線作業に取りかかったが、不合格の反省から更に手を加えていった。
作業2 複線図にケーブルの種類と長さを記入。
作業3 更に、結線に必要なケーブルの余裕分を追加。
※前回は、この余裕分の取り方がいい加減で不合格になったため、ミスがないよう慎重に長さを計算した。
具体的には、「電源、引っかけシーリングの余裕はゼロ」、「スイッチ・コンセント・レセプタクル・ジョイントボックス・アウトレットボックスの余裕を100o」取った。
作業4 配線の各ケーブルの長さチェックのため、種類毎にまとめた。
写真左の自分が計算したケーブル長、と、写真右の材料表のケーブル長を比較チェック。 ここで間違って短く切断してしまうと確実に不合格になる!
材料表の一部
VVF2.0−2C 青色シース(黒、白)・・・・・250mm
VVF1.6−2C (黒、白)・・・・・・・・・・・・・800mm
IV1.6(黒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・550mm×2本
IV1.6(白)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・450mm×2本
ちなみに、マエバラ企画の問題ではケーブルを50〜100oほど長く配分しているので、VVF1.6ー2C、私の図の250o+450o=700o→材料表の800oは同じと解釈。
なお、IV1.6の黒は、スイッチ同士の渡り線に使うため、白より100o×2本=200o長くなっている。
このことから、私のケーブル配分表は正解なので、切断時の測定ミスに留意すれば、「致命的ななミス」は防げる。
作業5 その他の諸条件を記入すると、私の場合、ほぼ8〜10分経過していた。
ここまで記入すると、差し込みコネクター、スリーブのチェックが出来、後の作業が楽になる。
この「我流複線図」作成は一見無駄のようであるが、もし作業中にミスをし、それが原因で頭が真っ白になり、結果、次々とミスを重ねていく「負の連鎖」に陥ることを考え、最後までこの方式にこだわって練習を積み重ねた。
たとえ、作図に10分かかっても、残り時間は30分ある。私の場合20分程度で配線・結線を終えていたので、最終チェックの時間を加えても10分程度ゆとりが出ると判断、本番でもこの方法をとった。
一つ一つの具体的な配線作業については割愛します。
マエバラ企画
、
かずわん先生の左下のURL
を参考にして各自、練習を重ねて基礎技術習得をしてください。
完成図は左図のようになる。
ただ、よく見ると解答ミスがありますね。アウトレットボックス内の白線4本接続はリングスリーブでなく差込コネクターのはずですが・・・・・・ ? でも、この問題提供自体がマエバラ企画のご厚意なのでドンマイ!
技能練習記録を見たら、昨年は、簡易複線図作成→配線作業に13問×3回、今年は、我流複線図作成→配線作業に13問×7回、合計2年間で13問×10回=130回も技能練習をしていた。本当によーがんばった!
現役だと勤務の関係でこんなに時間を割くことが出来ないけど、毎日が日曜日の年金生活者なので、潤沢に時間をかけることが可能であった。いや「ボケた分を回数で補った」といった方が正解なのかもしれない。
材料のケーブルは、2年間でVVF2芯・1.6oを5巻(500m)、VVF3芯・1.6oを2巻(200m)を使用した。
材料費を安く上げるため、ケーブルはショップで買わず、100mの束を
通信販売
で仕入れた。お値段は、VVF・2芯・1.6o 4,410円、VVF・3芯・1.6o 7,710円であった。
それでも、二年間にケーブル購入費として33,060円かけたことになる。まともな人から見ると、まさに奇人&変人&道楽人としか写らないだろうが、私にとっては、一発必中を狙うためには練習しか思いつかなかった。
なお、VVF2o・2芯、VVR2o・2芯、EM-EEE2o・2芯は近くのショップから切り売りで1Mだけ購入し、皮膜はぎ&皮むきの練習に使用したものの、実際の技能練習はすべて、安価なVVF1.6o・2芯で代用した。
・ 写真中央はEM-EEE2o・2芯→かなり堅めの皮膜で覆われているが、VVF同様に取り扱えば良い。
・ 写真外側はVVR2o・2芯→VVFケーブルとは全く異なる作りなので、最初はかなり困惑した。皮むきは丸ケーブル専用の技法があるため、何回も練習した。
・ もう一つ、一度結線したケーブルは廃棄処分にせざるを得ない。そのため、ケーブルを経済する目的で、「試験問題では20cmだが、今は練習なので半分の10cmにする。ただし、本番では20cmにするのだ!」と自分に言い聞かせながら、短めに切断した。
(2)技能試験
期日 平成25年7月28日(日)
場所 岩手県滝沢村 岩手県立大学
昨年の悔しさをバネに、意地と根性で配線練習を繰り返したお陰で、落ち着いて試験に臨むことが出来た。
時間配分は普段の練習通り、複線図作成10分、配線に20分、残り10分をチェックに回した。試験後、自分のイメージではノーミスであったが、採点するのは自分でないため、ふたを開けるまで不安であった。
実技試験時の限られた時間内に書いた粗末な走り書きの複線図である。
ご覧の通り、書いた本人しか解読できない代物だが、私にとっては結線時の大きな道しるべになった。余談であるが、本番時、高校生を含めた若い受験者が、試験開始から2〜3分ほどでバタバタと配線作業に取りかかっている中「
老一点のボケた高齢者
」が、10分もかけて悠々と図面を書いていたため、学科試験の時同様、年配の試験官が、「今度はダメそうだ?」という顔で、心配そうに私の手元をのぞき込んでいた。
(3)結果
何とか合格通知を受け取ることが出来た。
合格通知のはがきを写真で紹介しようとしたが、うっかり写真を撮る前に、免状交付手続きのため県に結果通知書を提出してしまい、紹介が出来なくなった。
形式は、昨年の不合格通知から「残念ながら」と「不」が抜けただけであったような気がする。
つい先日届いた免状である。 生まれて初めて電工の免状を目にした。 予想に反して、紙に写真を貼っただけの質素なものであった。でも、これがあれば
ご近所に店を構えている電工店
の目を気にせずに堂々と電気工事が出来る。免状取得は何歳になってもうれしいものである。
第二種電気工事士も取得しました。