養豚を行う上で、切り離すことが出来ないのが糞尿の処理です。
悪臭などの問題をどう解決するかは大きな課題です。
この問題をポークランドでは「BMW技術」という方法で解決することに成功しました。
車の名前ではありません。
BMWとは、B=バクテリア・M=ミネラル・W=ウォーターの略で、簡単に言うと土の中のバクテリアと石のミネラルを利用して汚水を浄化するという技術です。これは自然浄化作用という、自然に備わるリサイクルの力を利用したものです。バイオリアクター(石=ミネラルと腐植土=バクテリア)の入った排水処理プラントで尿を循環させます。いくつものプラントで浄化を繰り返すことによって、臭いはまったくしなくなります。
それだけではなく、この水はミネラルをたっぷり含んだ「生物活性水」に生まれ変わります。糞尿や土の中にいた微生物が、水槽の中で臭いの元となる有機物などを食べ、石からミネラルを補給して、家畜の尿を不思議な作用を持つ水に変えてしまうのです。この水は約百倍に薄めて豚に飲み水として与えたり、天井部からの細霧や豚舎内の洗浄水として利用されています。その結果、豚舎内の消毒はもちろんの事、子豚の成長も早く、肉質がやわらかく色鮮やかになったのです。
BMWシステムを採用した糞尿処理施設は、ポークランドと隣接する「小坂クリーンセンター」で運営されています。出来上がった堆肥と液肥(生物活性水)は農協を窓口として各農家へ販売されています。
また、クリーンセンターでは、糞尿だけでなく一般家庭から出る生ごみも堆肥化しようという計画を進めています。現在、小坂町の小学校から出る生ごみなどが糞と一緒に堆肥化されています。将来は、地域全体の生ごみが堆肥化されればと考えています。
このように、今まで臭くて汚いだけのマイナスイメージだった糞尿を、堆肥や生物活性水として土や農作物、動物に還元する事で、生物界本来の自然な流れが生まれるのです。そうして畜産から生まれた肥料を農作物へ、その作物を畜産へという「資源循環型」・「地域循環型」農業が生まれるのです。
画期的な技術によって開発された魔法の水「生物活性水」。先にもイラストなどで説
明しましたが、「もっと詳しく知りたい!」という方のために、製法や用途などにつ
いてさらに解説しましょう。
ポークランド・十和田湖高原ファームから出た豚の尿は、排水処理プラントを循環し浄化されます。このプラントには軽石・御影石・腐植土が入っているだけです。腐植土の中の微生物(バクテリア)が尿の成分を食べ、石から栄養分(ミネラル)が溶け出し、更に微生物が活発に活動し尿をきれいにします。きれいになった尿(水)には微生物がいなくなり、残るのは豊富なミネラルと微生物が出したホルモンやビタミンだけ。臭いも全くありません。これが「魔法の水」=「生物活性水」というわけです。
ポークランドではこの「生物活性水」を様々なことに利用しています。約百倍に薄めて桃豚の飲み水として与えると、豚の体内細菌が活発化し、体の内側から丈夫になります。そのため、肉質は柔らかく、色鮮やかになり豚肉独特の臭みがなくなります。また、豚舎の天井から細霧したり、豚舎内の洗浄に使用すると豚舎はいつも清潔で臭いもありません。生物活性水を飲んでいるので豚や糞尿そのものの臭いも少ないのです。また、豚舎から出る糞を堆肥化する際も生物活性水を使い悪臭を抑えています。