いつも通りという狐
むがし八幡平の山奥に左の目がつぶれた爺様と婆様がなかよく暮らしていました。
ある日のことです。爺様は
「婆婆。俺花輪さえって魚っこ買ってくるじゃ。」
と言って出かけていきました。夕方になりました。爺様が
「婆 婆 。えま 来た。」
と言って帰って来ました。婆様が爺様の顔を見ると、左の目がつぶれていないで、右の目がつぶれていました。婆様は、狐が化けてきたと思い、化けの皮をはいでやろうと思いました。婆様は、
「爺様 爺様。 買ってきたもの見せてくだぇ。」 狐が化けた爺様はなんと言ったらよいかわからないのて、
「いつもの通りです。」
と言っておけばいいだろうと思って
「えつもの通りや。」
と言って座敷に上がっていきました。婆様に問われるたびに「いつもの通りです。」と言いいました。婆様にだまされて石の枕して金槌まで用意されました。婆様は、
「寝ると、まなぐ閉じて寝るども・・」
と言いいますと、狐化けてきた爺様は眠ったふりをしました。婆様は今だとばかり爺様に馬乗りになって、狐が化けてきた爺様を金槌でわったり叩いて殺してしまいました。
爺様と婆様は、狐汁をして食べてしまいました。
方言の説明
・〜えでけろじゃ=いでください ・えさ=家へ ・えちも=いつも
・えべが=いいだろうか ・へる=言う とご=床
・まなぐ=目 ・かます=むしろを二つ折りにして両脇を編み,籾などを入れるもの