かわうそと狐
むがし毛馬内の小坂川にかわうそがいました。いつもうまそうに魚を取って食べていました。米山の狐はいつも見せつけられていました。
ある年の寒い冬のことです。
狐は獲物が取れないので、かわうそのところへ尋ねていきました。
「かわうそさんかわうそさん、おめさん えっつも めぇそうにじゃっこ食ってるようだども、じゃっこの取り方 教えてくだぇ。」
と頼みました。。かわうそは
「まんつ しまがっこさ穴っこあげればぇえ。」。」
と言いました。穴をあけ尾を穴に入れると、「カチンカチン。」とあたるものがありました。かわうそはそれは魚だと言いました。
夜が明けてきました。狐は尾を引き上げようとしましたが、あがってきませんでした。いくら力をいれて尾を引っ張っても、穴から抜けてきませんでした。狐は泣き出しました。萱町の人たちが、曹洞の下の桂井戸へ水を汲みに行きました。すると小坂川の方から変な泣き声が聞こえてきました。行ってみると,氷の穴から尾が抜けないで泣いていた狐がいました。
人をだます狐が、かわうそにだまされたのです。尾に当たったのは氷でした。
方言の説明
・手すりこっぺぇ=手摺乞拝 ・えまがえまが=今か今か ・ヒトヨヒタヨ=一つ二つ
・かじょれ=数えれ ・めっきゃる=見つかる
・なんぼ=いくら ・しみる=凍る ・はしぇる=走る