節綿(せつめん)
むがし八幡平の旦那さんが、使っていた太郎に、
「太郎太郎、花輪さ行って節綿買ってこいじゃ。」
と言いました。太郎は、
「節綿て、何のことだだべ。」
と思いながらで歩いていきました。堰をぽんとはねたとたん、
「おにめん。」
と言うようになりました。花輪について店屋にいきました。
「おにめんけでくだぇ。」
店屋さんは
「鬼の面このことだべ。」
と言って、鬼の面こを売ってくれました。太郎は、鬼の面を持って走って帰っていきました。途中,お堂があったので、休むことにしました。中に入って炉に火
たきました。生の杉の葉なので,けむくて仕方がありません。そこへ、木綿をたくさん背負った木綿屋が入ってきました。火に当りました。煙くて仕方がありま
せん。太郎は、煙が木綿屋のほうにいったとき、鬼の面をかぶりました。木綿屋は、びっくりして木綿を置いたまま、
「鬼だ。鬼だ。」
と言って、逃げていきました。太郎は、木綿をここに置いても仕方がないと思い、背負って旦那さんのところへ戻ってきました。旦那さんは、みんなに木綿を分
けてやっておもしろい正月をむかえました。
方言の説明
・節綿=正月に着る木綿 ・ことだしべな=ことでしょうね
・けぷてぇ=煙い ・どでん=びっくり ・どしたべ=どうしたでしょう
・たまげる=驚く